『トホス』(28分/2018年制作)

西アフリカ、ベナン共和国のヴォドゥンの神格には、雷神などの自然物、疱瘡神などの伝染病と関わるもの、蛇などの動物と関わるもの、先祖霊と関わるものなどがある。
その中で、トホスと呼ばれる神格は、憑依する神であると同時に、人間の形で生まれてくる神でもある。特に、身体や知的に障がいを持って生まれた場合、その子どもはトホス神とされる場合が多い。本作品の主人公であるポールは、子どもの頃話すことができず、占いでトホス神であると判じられた。畑仕事をせずに一日中散歩しているポールを村人は侮り馬鹿にしながらも、畏れ、愛でる。神と人間が交差しながら生きる世界を、ポールに寄り添いながら映し出した。
『死を踊る』(30分/2017年制作)

本映像は、ベナン共和国で中部ティオで行われた葬送儀礼の記録である。印刷屋を営む村の青年が、自分の父親の二次葬「ジョヌディド」を営む様を描く。「伝統的儀礼」とされるあり方を若者たちがどのように守り、逸脱するのか。その中で、在来信仰の神々とどのように関係を紡ぎ出しているのか。儀礼の躍動とともに、現代的な儀礼と人びとのあり方を映し出す。
”The Season of Vodoun” (46分/2017年制作)

本映像は、ベナン共和国における在来信仰ヴォドゥンの儀礼の記録である。中部ティオ村では、乾季にはいると2ヶ月~3カ月にわたるヴォドゥンの儀礼がはじまる。ヴォドゥンは、自然や動物、先祖などに由来する神々の総体である。その期間、シャーマンたちは決まった社で生活する。儀礼の日にはヴォドゥンはシャーマンに憑依し人びとの前で踊り祝福する。連綿と続くヴォドゥンの儀礼とともに、その年行われた大統領選挙にヴォドゥンたちが関係する様子を描き、現代的な儀礼のダイナミズムを照射する。